絶叫する60度


結成4年半。重ねた千本のLIVEの先に見えた1st Album「絶」
すごくベタな言い方をすれば1stにしてベスト。
すごく下手な言い方をすれば彼女たちの2019年版の遺書。
Interview 魁(Vo) / もんてろ(Vo) / 濱田(P)


■1st Album「絶」がリリースされました。出てみて今の心境は?

魁:発売するまでは不安もあったしドキドキ。でもリリース日のみんなの感想を目の当たりにして安心と喜びって感じ!
もんてろ:まあ、素直に嬉しいです。でも、これをきっかけにして、いかにライブハウスに来てもらえるのか?それを一番思っています。

■僕の中では「絶」というアルバムは絶叫する60度の4年半の集大成だと思っていたのですが、魁ちゃんは「過去と未来を繋ぐ1枚」とLIVEのMCで言っていたのがすごく印象に残りました。

魁:もちろん。いろんなバンドと形を変えながらやって来た「絶叫する60度」とそれを応援してくれている人たちの集大成ってのは間違いなくて。これで絶叫する60度の第1章が完結して、第2章へと向かっていく新しいステップ。そんな1枚になったと思っています。

■なるほど。もんてろにとってはこの「絶」はどんな1枚になりました?

もんてろ:関わって来た人たちの魂が全て詰め込まれてる1枚。今の絶叫する60度の新しい武器としての1枚という意味もあると思います。この新しい武器でいろんな事に挑戦していけたらと思ってます。

■絶叫する60度としてアルバムは初めてじゃないですか?ここまで敢えて出してなかったというか。

魁:全員が満足出来る状態でレコーディングに臨みたかったっていうのはあったと思うのですが、さすがにそろそろ5年目だし、今のメンバーが揃ったというタイミングだったからこそのリリースになったと思います。
濱田:お客さんには「なんで出さないの?」っていっぱい言われて来たし、魁ともんてろですら「なんで出さないの?」って思っていた部分はあったと思うんですよ。もし2年前にリリースしていたらファンが買うだけだったと思いませんか?試聴機から衝動買いという奇跡も中々起こらない時代じゃないですか?そういう意味で、まずは魁ともんてろのクオリティが上がっていくのを待っていました。そして今回、ようやくファン以外の人にも聴いてもらった時に「いいじゃん」って言ってもらえそうな所までギリギリ来たかなと。あとは後悔したくなかったんです。もし2年前に納得の行かない状態でアルバムを製作してたら多分今、すでに後悔していたと思うんです。アーティストの1st Albumって一番勝負だし、アーティストの1st Albumは1枚しかないし、絶叫する60度の1st Albumはこれしかないから。

■そういう意味でも18曲入りのヴォリュームになったと?

濱田:そうです。絶叫する60度としてもしかしたら最後のAlbumになるかもしれない。だとしたらここで出し惜しみなんてする必要がないじゃないですか?未来の保証なんてどこにもないし。

■そんな18曲は楽曲ごとにサウンドの作り方が全然違っていて、そういう意味でベストっぽいなと。

魁:ジャンルにとらわれないバンドになりたいって思ってる!
濱田:絶叫する60度はジャンル的なカラーを付けたくないという考えは、実は活動を始めた当初からありまして。時代やその時の好みに合わせてジャンル的なものを自在に行き来するサザンとかB’zみたいになりたいなと。今作に収録されている新曲の1曲はもんてろがセリフ口調で合いの手を入れたりする楽曲だし、また振り幅が広がってLIVEの現場が楽しくなると確信しています。だからアルバムの曲順もLIVEのセットリストを意識して組みました。

■LIVEでいっぱい聴いたことのある楽曲を改めてCDで聞いてみると、「そんな歌詞だったんだ」って印象がありました。

魁:一言一言ちゃんと伝わるように大切に歌いました。
濱田:LIVEだと動きまくっているから聞き取りにくいって事があったのかもしれないです。でもそういう風に感じてもらえるのはある意味理想で。まず音で好きになってもらって、その後歌詞が二の矢で刺さったら、その楽曲は長く愛されるんじゃないかと。今回リリース前に楽曲の人気投票をしてみたんです。そのランキングが歌詞を見てどう変わるのかが非常に楽しみです。

■と言いながらもLIVE感は大切にしてある1枚になっていますよね?

濱田:もんてろの歌はほぼ一発で録ったんですが、魁との若干のズレとかを敢えて直していないんです。いつものLIVEでもこういうズレ方をするからこれは合わせずに行こうって。LIVEの聴こえ方と変わらないようにしました。逆にバシッと合わせちゃったら違うんじゃないかなと。

■再録音源の歌録りについてはどうでした?過去の作品との比較というか。

魁:LIVEで楽曲が育って来たからそれをそのまま歌いました。全然過去の作品は意識してない(笑)
もんてろ:過去のCDを一切聞かないので(笑)
魁:発売してから聴き比べてみた。
濱田:逆にね(笑)ただ今までの作品は僕の中でも悔しさもあったし。
魁:うん。録り直したいってずっと思ってた。
濱田:でもその悔しさで成長して来たし。「絶」の中でも再録曲はかなりの鍵になっている事は間違い無いです。

■そういう意味では「絶」はずっと聞ける1枚になったと。

もんてろ: 新曲覚えるためには聞いてます(笑)
魁:100回?200回は聴いてる(笑)
濱田:パフォーマーとしてのもんてろ。クリエイターとしての魁っていう立ち位置が確立されて来た今回のレコーディングだったと思ってます。魁は今回いろんな事にこだわってたから。
魁:コーラスも入れて、鍵盤も入れたし、歌い方や声、いろんな部分にこだわって作りました。
濱田:もんてろの一発感。魁の作り込んだ世界観。それをうまくミックスさせたバランスの取れた音源だと思います。

■絶叫する60度のLIVEには「Oi!」が付き物じゃ無いですか?それが無い状態の音を聴くのは新鮮でした。

魁:でもね、CD聴いてたらみんなの声が聞こえてくる。
濱田:いつもLIVEを見てくれてる人はセルフで「Oi!」が補完されるんですよね。でもこの音源で初めて絶叫する60度を聴いてもらう人はその補完がないじゃないですか?そういう人も意識して気を使ったのはアタックの強さです。「Oi!」に被ってくる所です。エンジニアさんはめんどくさかったと思います(笑)

■アレンジもちょっとずつではあるけど変わってましたもんね?

魁:全部意図的にいろんな可能性を試してみた。
濱田:「ねじ式」さんの楽曲のキラキラした部分をバンドサウンドで再現した場合にどこまでやるか。それが今回最大のポイントでした。

■つまりはなるべくなら「同期サウンド」は無しでLIVEするのが理想だと?

濱田:無しで行けるなら無しで行きたい。もちろん必要な部分もあると思うんですけどね。鍵盤必須の曲もありますし。ねじ式さんのボカロver.を知っている人は違和感があると思いますよ。でも「これはこれで良いよね」って言ってもらえないとバンドサウンドにこだわった意味がないというのも本音です。

■18曲入りのフルアルバムの中に新曲が2曲。この2曲の立ち位置は?

濱田:本当は新曲3曲入れたかったんですが、もうこれ以上入らなくて(笑)既存曲をカットしたくなかったので1曲新曲が削られた訳ですが。今後の絶叫する60度が「こういう事をやっていくよ!」というメッセージではあります。あとはシンプルにゼロから楽曲を作っていくという喜びを味わいたかったんです。まっさらな状態で過去と戦わなくて良いという。こんなレコーディングは初めてでした。
もんてろ:だからこそ、LIVEでどうやって表現しよう?ってのは悩んでました。いつも通り場数を踏んで自分のモノにしていくスタイルしかないとは思うけど。
魁:フロアのみんなと作っていく!
濱田:絶叫のLIVEでみんながフロアで巻き起こす振り付けとかって実はアーティスト発信でやった事あんまりなくてですね(笑)フロアで育ってステージが真似したって部分もいっぱいありますし(笑)

■楽曲が育っていくというのも絶叫する60度を追いかけていく上では楽しみの要素なのかもしれないですね?やはりLIVE至上主義は変わらないと言う事ですよね?

濱田:でも、やっぱりLIVEにどうしても来れない人はいるわけで。そんな人たちに「俺たちはLIVEが全てだ!」って言い続けてもどうなんだろうって今回リリースしてみて思いました・・・そういう人たちのためにも全力の音源があるっていうのは大切なんだろうなあ。出会ってない人は感情移入なんかできないって思って活動して来ましたけれど、実はそんな出会ってない人たちもどこかでちゃんと「絶」を待っていてくれた。もうそんな感情を伴って音源をちゃんと聴いてくれる人はこの時代に居ないんじゃないかと思ってたから。
魁:そう。インストアLIVEでも「ずっと待ってた」って泣きながら握手して来てくれた人がいて。全く見た事ない人だったんだけど嬉しかった。
濱田:少し考え方が変わりました。

■チーム絶叫する60度も進化を遂げて来ているわけですね。

魁:今回、ツアーでお世話になるライブハウス全部に手紙を書いたんですよ。手紙を書くのは好きでやってるからいいんだけど、宛名書いて、ひとつひとつ梱包して発送するっていう作業まで自分でやってみて「あぁいつもこういう作業を誰かがやってくれてたんだ。ありがたいなぁ」って思った。楽しむ為には地味でも頑張らなきゃいけない事がいっぱいあるんだとわかったし、スタッフへの思いがより深くなった。

■その先にはどんな事が待っていると思いますか?

魁:今回は4年半の集大成。ここから第2章が始まるんだけど、自分で作詞作曲をしたいなと。アーティストとして自分の脳内のメロディと言葉をどんどん発信して行きたいと思ってる。ただ曲を人前に出すって勇気がいるなと(笑)
濱田:魁はクリエイターの苦労と喜びを心底理解できるようになったら新しいスタートかなと。10曲出して1曲も採用されないみたいな事もザラだし。まあ早く出して来い!と思ってますけどね(笑)

■魁ちゃんの作った楽曲が発表されるのが楽しみですね。

濱田:最初から魁が書いたって言わないですけどね。偏見なく聴いて欲しいし。CDリリースしてクレジットに魁の名前が書いてあって「えーー」ってなるのが理想的。

■集大成と位置付けた今回の1枚。チーム絶叫的には出し切って次のステージへと駆け上がる1枚になったと。

魁:ハモりや鍵盤、ミックス含めてかなりこだわった!やりきった感はあるけど、本当はもっとやりたかった。やっぱりもう一回録り直したいって楽曲はあるかも(笑)
濱田:そこに気づけるようになって来た時点で成長して来たなと。どうしてもレコーディングの最初の頃に録った楽曲はそうなったりしがち。実際レコーディングかなり延長しちゃいましたから。レコーディング前にいかに詰めておけるか。それがこれからの課題です。本当にリリースがギリギリだったから(笑)発売延期。一瞬頭によぎりましたけどね。
魁:LIVEもCDも遺言書。いつ死ぬかもわかんないし。やっぱり後悔はしたくない。
濱田:これが「絶叫する60度」の等身大の名刺。今まではライブを見てくれ!って言いながらクオリティー的な部分を隠して来たみたいな所があったから。これで本格的に絶叫する60度の第2章が始まったと思います。
魁:それでも後悔があるんだけどね(笑)
濱田:だからやめられない(笑)いつまでやるんだろうなーこれ?
魁:ずっとですよ。ずっと。顔も名前も知らない誰かにも届くようなアーティストになりたいし、その人といつかライブハウスで出会いたい。だからずっとやります。


※インタビューは3月13日インストアライブの後に隣のカフェで2時間みっちり。もんてろは途中でバス移動のため中座しました。ここには書ききれない事もいっぱいでした。あとは「現場で」「CDで」確かめてみてください。


ライター:田中だいすけ

(2019.04 No.47掲載)

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